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ウサギの診療

 当医療センターではウサギの診療を行っております。草食動物であるウサギは人とは異なり、摂取した食物は盲腸内で微生物発酵を受けて必要な栄養源やビタミンに作り変えられます。それらは柔らかい盲腸便として排泄され、それを食べることで必要な栄養源を摂取しています。健康の維持のためには牧草中心の食餌から良好な繊維質をとり、消化管の運動が正常に保たれていることが必要です。そのため、ウサギの体調を把握するためには便の大きさや量、食餌の量や嗜好性の変化等を見逃さないことが重要になります。ウサギの病気の原因には生活環境や食餌が関わるものが多くあり、飼い主様と詳しくお話しをさせていただき治療にあたります。また、病気の予防のため、生活環境や食餌の改善が大切になります。下記にウサギの代表的な疾病を紹介します。

代表的なウサギの病気と症例紹介

不正咬合

ウサギの歯は犬や猫と異なり生涯伸び続け、通常は咀嚼することで摩耗され、適度な長さが保たれます。しかし、ペレット等の柔らかいフード中心の食事や、金網をかじることによる歯の破折や外傷、先天的な要因等で歯の摩耗に異常が生じると、伸びすぎた歯によって口腔内の粘膜や舌が傷付き、食欲不振、よだれや歯ぎしりが増える等の症状が起きることがあります。治療は麻酔下での処置が必要になることも多く、専用の器具や歯科用ドリルを使い、伸びすぎた歯を正常な長さに整えます。進行してしまっている場合は噛み合わせや歯の伸び方に異常を起こしていて、その後も定期的な処置が必要になることが多いです。

歯科処置の様子

過長した切歯(前歯)

歯科処置後

上下左右の歯のバランスを見ながら適切な長さに歯科用ドリルで削ります

過長した臼歯(奥歯)

処置後

下顎の臼歯が内側に向かって伸びてしまっています。上顎の歯ときちんと噛み合う長さまでトリミングします。

歯科処置前のレントゲン写真

歯科処置後のレントゲン

処置前は噛み合わせが悪くはっきりと見えなかった咬合面が、処置後にははっきりと見えるようになっています。

下顎膿瘍

ウサギの皮下組織には膿瘍ができることがあります。下顎膿瘍は不正咬合が原因で起こることが多いと言われています。
下顎に大きなしこりができたように見えますが、下顎骨と皮膚の間の組織に、チーズのような膿みが大量に溜まっています。状態により摘出を考えることもありますが、当院ではまず内科的治療を行います。

下顎膿瘍

排膿できるように、膿瘍に開口部を作ります。

綿棒で採取した膿の一部

適切に処置をしないと、下顎骨が融解し、痛みから食事ができなくなることもあります。

下顎骨が融解してしまったウサギの頭部レントゲン

ここまで進行すると咀嚼ができなくなり、食事をするのが難しくなってしまうことがあります。早い段階での処置が大切です。

消化管うっ滞(毛球症)

 ウサギに多い病気として、消化管うっ滞や毛球症といわれる病気があります。ウサギは犬や猫と異なり、嘔吐のできない動物です。繊維質の少ない食餌や異物の摂取、ストレスや他の疾病による消化管運動の低下等が原因となり、消化管での食物の停滞や、毛づくろいによって摂取した毛が便から排出できずに毛球の形成を起こすことがあります。常に食物を摂取し、消化管を動かさなければならない草食動物であるウサギの食欲不振は、消化管の動きが停止すると早期に他臓器への障害を起こしやすく、生命に関わることが多い病気であり、早期発見・早期治療が大切です。胃腸薬や補液等の内科治療を行いますが、外科手術によって異物や毛球の摘出が必要な場合もあります。

正常なレントゲン
 

うっ滞を起こしているレントゲン
赤丸の部分が胃に多量のガスが溜まっている様子

正常なレントゲン
 
 

うっ滞を起こしているレントゲン
胃内での食物の停滞がみられ、
胃内・腸内に貯留したガスが黒くうつっています(赤丸)

外科手術によって胃内の毛球を摘出したウサギの症例

小腸に問題がないかを確認します。
 

草食動物であるウサギ特有の発達した盲腸です。
盲腸にも問題がないかを確認します。

うっ滞を起こしている胃に支持糸をかけます。

胃切開を行い、胃内の毛球を取り出します。

胃を2重内反縫合後、腹腔内洗浄を行って閉腹します。

開腹手術が必要な症例は全身状態が悪化している状態での手術が多く、また、消化管の手術後も早期に食餌を始めなければならないため、術前~術後管理が重要になります。

尿石症 - 外科手術によって膀胱結石を摘出したウサギの症例

 ウサギの尿はアルカリ性で、尿中のカルシウム濃度が他の動物に比べて高いため、健康な個体でも尿中に結晶がみられることが多く、泌尿器疾患の発生が多い動物です。カルシウムの多い食餌や肥満が尿石症の発生リスクを上げる要因になると言われています。結石は外科手術によって摘出を行いますが、再発の多い病気なので日常の食餌管理・体重管理等をしていく必要があります。

膀胱に支持糸をかけ、引っ張りあげます。

膀胱切開を行い、結石を摘出します。

膀胱2重内反縫合を行い、閉創します。
 

生理食塩水を膀胱内に注入し、縫合部位から
漏れがないかを確認します。

眼科疾患:臼歯(奥歯)根尖部の炎症が鼻涙管(眼と鼻をつなぐ涙の通り道)に波及した症例

うさぎは乾草の尖った先端による刺激やアレルギー、多頭飼いの場合はけんか等が原因となって結膜炎や角膜潰瘍を起こし、目やにや流涙、結膜の赤み等の症状がみられます。
同様の症状を起こす原因として、歯の疾患や呼吸器の感染症が原因としてあり、それに伴って眼に症状が現れていることも多いため、全身状態の把握が重要になります。

鼻涙管の炎症によって膿性の目やにと結膜炎がみられます。

右眼

左眼

臼歯の過長と歯肉の炎症がみられました。

右側臼歯

左側臼歯

生殖器疾患

 雌のウサギは他の動物に比べても子宮の疾患の発生率が高い動物です。中でも悪性腫瘍である子宮腺癌の発生が多く、その他、子宮蓄膿症や子宮水腫、卵巣腫瘍等があります。また、痛みや体調の悪化が症状として出にくいため、病気が進行してから見つかることも多いです。子宮・卵巣の疾患は避妊手術で予防することが可能です。

ウサギの避妊手術

腹部の毛を刈り、消毒し、プラスチックドレープを張り付け、ドレーピングします。

子宮・卵巣を腹腔内から取り出します。

ウサギは子宮間膜の脂肪が多く、卵管が長いので取り残しがないようにしっかりと卵巣を確認します。
当医療センターでは子宮間膜は糸を使わずに超音波によって血管を凝固させて切断します。

子宮を結紮し、子宮と卵巣を摘出後、出血確認を行い閉腹します。

ウサギの子宮疾患(子宮腺癌)

4歳以降の避妊していない雌に多く発生します。血尿症状で気づかれることが多く、進行すると貧血の原因になることもあります。貧血になってしまうと、ふらつきが出たり、やけだるさによる食欲不振が生じ、進行すると失血死のリスクもあります。
また、肺への転移率が非常に高く、呼吸不全で亡くなってしまう子も多いです。
そのため、エコー検査、レントゲン検査で子宮疾患を疑う場合には摘出が望まれます。
写真のように、正常子宮(右)に比べると、子宮腺癌(左)では子宮が大きく盛り上がっているのがわかります。

子宮腺癌

正常子宮

ウサギの去勢手術

 雄のウサギも雌に比べると少ないですが、精巣腫瘍や精巣炎等の発生があります。また、
マーキングやマウンティング、攻撃性等の問題行動の改善のために去勢手術を行うこともあります。

術野の毛刈り、消毒後、皮膚を切開し精巣を取り出します。

精巣の血管と精管を結紮し、精巣を摘出します。

摘出されたウサギの精巣

ウサギの脛骨骨折

骨折時レントゲン写真

整復手術後のレントゲン写真

骨折時のレントゲン写真

整復手術後のレントゲン写真

手術中の写真

プレートとスクリューを用いて骨折を整復します

ウサギの腰椎骨折

四肢と同様に背骨も骨折してしまうことがあります。脊髄を圧迫してしまう為、排便・排尿困難や、後肢麻痺がおこります。
骨折当初は痛みが強く、食欲が落ちることが多いです。内科的に痛みのケア、食事と排泄のサポートをしていきます。

骨折する1年前のレントゲン

骨折後のレントゲン(前方の腰椎が折れ、背側にずれています)

ほとんどの場合、後肢の麻痺は残ります。
適切なケアを行うことで元気に生活できる場合もあり、根気強く治療をしていきます。

骨折・脱臼

 ウサギの歩き方の異常の原因として、筋肉や骨・関節の異常、神経の異常、歩行時に痛みが出る病変部の存在等があります。ウサギの骨は脆く、驚いて飛び跳ねたときや無理に押さえたりすると骨折や脱臼を起こすことがあります。四肢に加えて、脊椎(背骨)や脊髄を痛めることも多く、脊髄の病変から後肢の麻痺等の神経症状が起きることもあります。歩様検査やレントゲン検査等で診断します。保存療法や痛みの緩和に加え、外科手術が必要になることもあります。

 

正常なレントゲン写真

 

中足骨の脱臼・骨折を起こしたレントゲン写真

ソアホック(足底潰瘍)

 ウサギの跛行の原因として、ソアホックや足底潰瘍とよばれる足底の皮膚炎や潰瘍も多くみられます。犬や猫と異なりウサギはかかとの部分を地面に着いて歩き、また、怒った時や興奮した時にスタンピングとよばれる後肢を地面に打ち付ける行動をとるのも特徴です。堅い床材や汚れた敷料、肥満による負重の増加などが原因となってかかとの皮膚に炎症を起こし、歩行時に痛みを伴うことがあります。治療には抗生物質の投与や患部の消毒を行いますが、生活環境の改善も治療や再発の予防に大切です。